Cat Rabbit~猫と兎の愛の日常~
第2章 風邪っぴきのSentimental
俺には、叶わぬ片想いの相手がいる。この街にオープンしたばかりのセレクトショップ「Cat Rabbit」のゆら店長だ。
店長は誰にでも優しい。そんな優しさに惹かれ、勘違いしてしまっていた。俺のことを好きだと思って告白したら、好きな人がいるからとあっさり振られてしまった。
その場の空気を変えるのに誰なんだよ~~とちゃかすと誰にも言わないでねと神妙な顔でバイトのカヅキが好きなことを打ち明けてくれた。
女の子同士なんて普通はありえない、そう思うところだけれど、一緒に店を立ち上げたあの二人の絆が深い。そんなことはこの街の誰でも知っていることだ。
そして、カヅキとは冗談めかして茶化しあえる男友達のような関係の俺は、カヅキの気持ちも確かめたから知っている。二人は両想いだ。だけど悔しいからどちらにも伝えない。
店長のことは諦めよう。そう頭では分かっているが、心の中では、まだまだかかりそうだ。だからせめて、冷たく接しよう。そう思うのに、これじゃあまるで未練たらたらな男だ。カッコ悪、俺……。