
完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第12章 【最終章】完璧な駄犬と憂鬱な秘書
ため息はつきたくないけど…出てくるのだから仕方がない…
こっそり会社を抜け出すとドレスの試着に向かった
一人で何着か試着し…鏡の前に立つと…
何とも言えない顔をした自分が鏡に映った
「…分かってるわよ、素直に一“緒に来て”って言えばいいだけの話だったことぐらい…
でも、ドレス選ぶだけのことで…純弥さんを振り回せない…
後少しで…完成するって言ってたし――――…」
自分に言い聞かせるように…大きな鏡に映る自分を睨み付ける――――…
すると――――…この睨んだ目が大好きだと興奮する曽根の姿が脳裏に浮かんでしまった…
「――――……私だって…我が儘…言いたい!
仕事なんか…しないで…ドレス選びに付き合ってほしかった――――!」
試着室には誰もいないのは分かっている――――…だから、我慢していた言葉が…口から出で止められない!
自分は大丈夫だと思っていた…
一人で選んだって、大丈夫だと――――…
“それは、よろしくないですね”
そう言うこと…か…
財前さんには…頭が上がらないな――――…
