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シャワーを済ませて
帰り支度をするカオルに
黒光は

『本当に田舎に戻っちゃうの？』
と名残惜しそうに
話しかけた。

『うん…もう都会でやり残したことはないよ。私ももう31だし。これからは早く健太の赤ちゃん生まなくちゃね。』
薫子は微笑んだ。


健太の両親が
田舎に戻って農家を継いでくれと
去年辺りからたびたび
連絡をしてきていたのだ…。

『そうか…　…農家の奥さんか…。』

『そう…農家の奥さんになって、農家のおっかさんになって…　…ウフ…！　黒光さん、ありがとう。黒光さんのお得意のタンツボキス…忘れないからね！サヨナラ！』
と薫子は
健太と腕を組んで
お辞儀をした。


『ああ。俺なんかともう会わない人生であってほしいよ。俺からのタンツボキス…もう100回以上味わってんだけどさ…　…忘れろよ！力ずくでも無理矢理でも記憶から削除しな。　それじや…。』

黒光なりのサヨナラで
二人を見送った。