好きにさせて
第8章 恋人(仮)
「尚…」
「ん?」
「必要とされるって
うれしいね」
なんや急に
そう思うたけど
茜の気持ちに
のっかってみることにした
その気持ち
俺も分かるし
「うん…せやな…」
「………」
あれ?
茜からの返事がない
静かになった茜が気になって
身体を起こし
どことなく寂しそうな
茜を抱きしめると
茜も
俺に腕を回した
茜は
必要とされることや
触ってたいと言われることが
嬉しいらしい
けど
その言葉の裏を返せば
必要とされへんかったし
触られることもなかった
っちゅうとこや
離婚いうもんは
そんなもんなんか…
そんな茜が
妙に愛おしくなって
茜の耳にキスをすると
茜は
くすぐったそうに
首をすくめて
クスクスと笑った
こんなに可愛いのに
触らんとか
考えられへん
俺は
たまらなくなって
茜の笑ってる唇を
ぺろっと舐めると
茜はニコッと笑って
俺の唇を舐め返した
俺がまた
舐め返すと
茜も舐め返す
そのうち
どちらともなく
舌を舐めるようになり
いつのまにか
二人の舌は
深くもつれ合っていた
「…んっ…っ」
茜は
またクラクラしはじめたのか
俺の腕をぎゅーっと握り
たまに顔を背ける
それでも
舌を追う俺に
嫌とは言わず
何度も舌を絡ませ
そして
身体を熱くしていった