好きにさせて
第11章 距離
茜が店の灯りを消し
戸締りをして
俺の車に乗ると
茜が
少しぎこちない感じで
俺まで
ぎこちない
あぁ…苦手な空気や
けど
なんとかせんと
「今日は
店、暇やったんか?」
「うん、そうなの。
尚が来た時
もう閉めちゃおっかなって
思ってたとこだった」
「そぉか」
他愛も無い話をしながら
茜の家に向かって
車を走らせ
10分ほど経った頃
俺は茜に相談もなく
車を左折させて
アパートに向かった
「尚?」
「勝手にごめんな?
急ぎの用がなかったら
部屋に来てくれへんか?」
「…用は…ないけど…」
「ほな、行くな」
「…うん」