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好きにさせて

第11章 距離


茜の声は
徐々に涙声になり

話が終わると
それは
すすり泣きに変わった


けど

俺は
抱きしめることも
涙を拭いてやることも
その茜を見ることも
できない


それは

茜にとって
辛い事やから…。


茜が泣いている間
俺は色々と考えていた


これでもう
終わりなんか?

距離置かれても
辛い時は
またここに来てくれるんか?

セックスはせずに
友達や
プラトニックな
恋人みたいには
できへんのか?

いや

そもそも
恋人のフリなんかやから
あかんのやないんか?

ほんまに
付き合うてしまえば
茜やって
甘えられる


そうや


友達からでもええ

付き合えばええんや



そこで俺は顔を上げ
泣き止んだ茜を見つめて
ずっと
言えなかった言葉を
口にした



「茜」


「……」



「恋人のフリなんかやのうて
ほんまに付き合うてくれへんか?



茜のことが
好きなんや

ほんまは
ずっと前から好きで
けどお前は
俺のこと好きやないから
恋人のフリとか
提案して

けど
こんななって後悔してるんや

せやから茜
俺と」


「尚」


「…なんや」


「あの…」


「遠慮せんと
なんでも言うてええで」


「あのね」


「うん」




「好きな人ができたの」

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