テキストサイズ

好きにさせて

第12章 嘘


弁当は
多分
ほとんど食べてないくらいの
重さで
痩せてる原因は
めちゃくちゃ気になったけど

茜の髪が乾くと

「もう寝た方がええ」

と俺は茜に声をかけた


茜が
そんな素直に
ほんまのこと
言うとは思われへんし
疲れてんのに
そんな話させるのも
可愛そうやからや

「…うん」


俺は寝室の電気をつけ
茜を部屋に入れると
ベットの上に
茜の枕がまだ置いてあるのが
目に入った

「あ…茜の枕も、そのままやから(笑)」

なんや照れ臭い

せめて
枕くらい
片しといたら良かったと
俺はその時思った


「ほな…俺はどっか
飲みに行ってくるわ。
今日は夜勤明けで
昼間めっちゃ寝てたから
どうせまだ寝られへんし。
気にせずゆっくり寝とけ。
な?」


そう言って
茜をベットに座らせると
茜の髪から
ふわっと
いい香りがして
思わず俺は
その香りを胸に吸い込んだ


「…尚…」


「ん?」


「ごめん…」


「ごめんやないやろ?」


「違うの…」


「え?」


「あの…」


言いたいことを
なかなか言葉にしない
茜の隣に腰掛け

「なんでも言うてええで?」

と、俺はできる限り
茜に優しく声をかけた

「あ、あれか、布団か?
そりゃ嫌に決まってるよなぁ…
けどこれしかないねん。
今日は勘弁してくれ」


「そんなことじゃなくて…」


「ほな…なんや?」


「あの…あのね」


「うん」


「出かけたり…しないで」


「茜…」


「お願い」


「茜が寝られるんなら
俺はかまわへんけど」


「ちゃんと寝るから」


「わかった。
ほな…あっちにおるから。
出かけたりせんから」


「うん」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ