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好きにさせて

第13章 不通


said 茜


尚に
救われた

そう思った


尚に抱きしめてもらっていると
全てを忘れられる

そう思っていた


ううん
確かにそうだった

恋人のふりを
していた時は。



それなのに
今は…少し違う


正直

怖い


また
あの頃のような思い
するのかな…

と、数年前を思い出して
怖くなる


私が病気になって
手術をしても
元、夫は優しかった

子供ができなくなったことも
気にしていないと
言ってくれた


けど

私とのセックスは
私への『いたわり』からか
徐々に変わっていった

「大丈夫?」

「痛く無い?」

もちろん
その言葉は
嬉しくて

優しい人だと
感謝していたけど
深く、熱い繋がりはできなくなり
いつしか
私に背中を向けて
眠るようになっていった


手術したのは
私が30歳の時

彼は
27歳だった


浮気は


仕方ないと思った



私が
原因なんだから

私が
女じゃなくなってしまったんだから…



やっぱり

尚には
全てを話すべきじゃ
なかったのかな…と
後悔する


優しくされれば
されるほど

私の胸は痛んだ


何も知らなければ
尚はどんなに心軽く
毎日を過ごせるだろう

私と再会しなければ


親に…
なれたかもしれないのに



ごめんね…尚


本当に





ごめんなさい

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