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好きにさせて

第13章 不通



said 尚


その日
朝飯を食べて
俺達は買い物に出かけた


茜が
部屋で過ごしやすいように
買い出しや


買い物をしてると
無意識に
子供連れの親子が
目に入る

茜は
普段と変わらない感じやったけど
俺は妙に気になって
仕方ない

その『気になってる』ことが
茜に知られてないかと
それも気になって…

あぁ…
こーゆーことか…と
思ったりした


子供ができないことを
『気にしてない』
と言ったのは
嘘やなかった

けど

時間が経って
もう親にはなれない
とか
子供を抱きしめることは
ないんやと
リアルに考えると
それはそれで
正直
ナーバスになってる自分に
気付く


もちろん
茜と一緒に
この先ずっと一緒にいたいと
思っているし
子供のいない生活も
受け入れる覚悟はある

ただ

思っていた以上に
それを受け入れることは
そんなに
簡単ではないということや


子供がいなくても
その理由が

産まない

産めない
では

全く違うということなんや


それを実感した今
茜が俺に嘘をついた理由が
分かった気がした

俺に
こういう思いを
させたくないという
優しさやったんやろう

甘えることが下手な
茜のやりそうなことや


けどな


結局
俺と離れたことが辛くて
全部話してくれたことを
俺は感謝してるんやで?

そこまで
俺のこと
好きでおってくれた
いうことなんやから


そう思いながら
茜の手をぎゅっと握ると

「ん?」

と、茜は笑顔で俺を見上げた

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