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好きにさせて

第2章 二人


セックスしたいとか
思うだけなら
勝手やし
男っちゅうもんは
そんな生き物で…

そう思うと
ココの客もみんな
そう思うてんのやないかと
思いはじめる


アホな嫉妬や


「ねぇ
一度も結婚してないの?」


「なんや急に」


「野崎くんのこと
まだあんまり聞いてないから」


茜の言う通り
俺達は
小学校の頃のことばかり話して
『それ以降』のことや
現在のことは
ほとんど話題にしていなかった


「せやったな。
結婚は一回もしてないねん」


「どうして?」


「どうしてってなぁ…。
まぁ転勤多かったしな」


「女の子、好きなんだよね?」


「男が好きや思てんのか?(笑)
そんなわけ無いことは
藤沢よう分かってるやろ」


俺は二人が話題にしない
『それ以降』のことを
匂わせるような言い方をした


けど
茜の返事は
あっさりしたもんやった


「そうね(笑)」


中学の頃の話題は
避けたいんやろうか…


「女、めっちゃ好きやで」


それとも…
忘れてしもたんか?


「クスッ(笑)」



俺は

忘れられへんけどな



「藤沢は?」


「ん?」


「男好きか?」


「やだ、結婚してたのよ?」


「男めっちゃ好き
言わせたかっただけや(笑)」


「もう(笑)」


「子供は?」


「・・いないの」


「そぉか」


どさくさに紛れて
ちょっと聞きにくかった事を
聞いた俺は

なんとなく
悪いことをした気分になり

それを誤魔化すように
茜のお猪口に
熱燗を注いだ


すると茜は
そんな俺の気持ちを
見透かしてんのか

「なんでも聞いていいよ。
離婚したのは
お母さんのお葬式終わってすぐ。
今はお父さんと二人で
実家暮らし」

と、聞いてもないのに
色々と話をしてきた


「そおか」


なんでも聞いてと
言われたけど
俺は「そおか」としか言えず




付き合ってる男が
いるのかどうか

聞くことができなかった


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