好きにさせて
第16章 現実
それから
数日後
茜が
俺の親に会いに行くことになった
手土産は
打ち合わせた通り
親父の好きな焼酎と
おかんの好きな
苺大福
かなり緊張してるのか
今日の茜は無口やった
「そない緊張せんでもええて。
結婚とかそーゆうんやのうて
付き合うてる彼女
くらいの気持ちでおったらええし
普通にしてたらええから」
「分かってるんだけど…
普通がどうか
分からなくなりそう」
そう言う茜は
久しぶりに俺の家に
上がった瞬間から
ずっと耳を真っ赤にしていた
「いやー茜ちゃん
久しぶりやねー
えらいべっぴんさんになってー」
けど
関西弁丸出しのおかんに
救われたのか
表情は穏やかに笑っていた
そして
心配していた茜よりも
緊張してガチガチになってたんは
俺の親父やった
「ちゃんと
お腹すかせてきてくれた?
いっぱい用意したから
どんどん食べてな?
茜ちゃんお店やってるんやって?
洒落た料理やないけど
我慢してなぁ(笑)」
こういう時
明るいおかんには
救われるなぁ
と、いつも思う
茜も
矢継ぎ早にしゃべるおかんに
「はい、はい」
と返事をするだけで
時が経ってくれることに
ホッとしているようやった
みんなの腹がいっぱいになったころ
緊張していた親父も
手土産の焼酎を飲んで
リラックスしたのか
しばらくすると
色々としゃべりはじめた
そして
その話は
多少
固い話へと進んでいった