好きにさせて
第3章 出張
結局
何一つ思いつかない俺は
メールを送ることもできないまま
飛行機に乗り込み
窓の外を眺めた
あぁ・・えぇ景色やなぁ
窓の外は
なかなかのいい眺めで
写真でも撮りたくなる
あ
せや
写真・・
そう思いついた瞬間
目の前に広がる景色を
俺は急いで写真に収めた
青一色の空に
どこからか浮き上がる雲が
まぶしくて
茜にも
見せてやりたいと思うたんや
飛行機が着陸したら
この写真を
茜に送ろう
そう思いながら
目を閉じ
俺は茜が中学になった頃のことを
思い出していた
そういえば・・
小学校では
卒業するまで
茜とずっと同じクラスやったけど
中学になったら
俺と茜はクラスがバラバラに
なったんやったな・・
俺は部活に明け暮れるようになって
茜はなんでか帰宅部で
俺達は
会う機会がほとんど
なくなっていった
けど
中二の運動会から
俺達はまた
時々会うようになったんや
きっかけは
俺が運動会でケガをしたこと
茜はもう
そのことを
忘れてしもうたんやろうか・・
俺と再会してから
茜はまだ一度も
中学の頃の話をしたことはなかった