好きにさせて
第3章 出張
≪中二の保健室≫
「先生、ケガした~」
マジで痛い
血がダラダラ流れている足を
引きずりながら
俺は保健室のドアを
勢いよく開けた
「わっ、野崎くん大丈夫?!」
けど
そこにおったんは
先生やのうて
藤沢茜やった
「大丈夫やないわ、マジ死ぬ!」
「死ぬわけないじゃん。
ちょっとこっち来て。
洗ってあげるから」
「え?何?
お前がやんの?
ちょ、最悪やんけ!
俺マジで死ぬ~~」
「先生はさっきケガした子に
付き添ってていないの。
今は保健委員の私が留守番。
文句ある?」
「も、文句はないけど・・・」
「じゃ、こっち」
藤沢は
俺の腕をつかみ
足が洗える場所まで
ケンケンする俺を
支えるようにしながら歩いた
「なんやもうちょい
優しくせぇや~。
看護婦さんやろうが~」
と、ふざけていたが
それは照れ隠しで
女の子に腕を掴まれ
身体を寄せて歩いたのなんか
小6のフォークダンス以来やった
「もう、うるさいな~。
男なんだから
しっかりして!」
藤沢の口調はキツかったけど
多分・・・
それは照れ隠しと
しっかりせなあかんっていう
気持ちからなんやろうと思った
「いくよ?」
そう言いながら水を出し
俺の足を洗う藤沢は
目と口にぎゅーっと力を入れて
俺よりもずっと
痛そうな顔をしてたからや