好きにさせて
第1章 メアド
「藤沢驚くだろうなー」
同級生の平田は
少し面白がってるみたいで
ケラケラと笑っていたが
俺は
いざ店の前に立つと
妙に緊張が走った
「さ、行くぞ」
そう言って平田がドアのノブを握ると
俺は大事なことを
聞き忘れているのを思い出して
平田の腕を握った
「なぁ」
「ん?」
「藤沢がココにおるっちゅうことは
離婚でもしたんか?」
「そうらしい」
「そうか」
それを聞いて
平田の腕から手を離すと
平田は慣れた感じでドアを開け
中に居るであろう茜に
「よう!」と声をかけた
「あ!平田くん久しぶり~。
来てくれたの?ありがと~」
奥から聞こえてきた
十数年ぶりの茜の声
俺は
一瞬目を閉じてその声を聞いてから
足を一歩店の中に踏み入れた