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愛すると言う事…

第7章 episode 7


やっと許可をもらった久々過ぎる出勤日。

変な緊張感があった。

やっぱり先に行くと言った俺に、翔さんは車の方がいいと聞かず…
一悶着あったけど、何とか俺が説得して一人で店まで歩いた。

店に入ったら、驚く事に全員揃ってる。

緊張感が増した。

「「おかえりぃ!」 」

新しく入った奴も数人居たけど、殆んど全員にそう言われて、驚く俺を他所にシゲさんが馬鹿みたいにデカい花束を渡してくる。

智「………あり、がとうございます」

顔見知りの懐かしい店中の連中に囲まれた俺。

…温かかった。

今までこんな思いをした事がない。
"おかえり"なんて、ばあちゃんに言われた以来かもしれないと思ったら、ちょっと照れ臭いけどやっぱり嬉しかった。


こんな風に温かい連中が集まったのは、やっぱり翔さんの人柄なのかもしれない。



開店前に翔さんからの話の中で、光一さんが近々独立すると言う話が出た。

もちろん俺以外は皆知ってた様だった。

ただ、光一さんはあくまでも暖簾分けと言う形で営業したいと言う。
翔さんは光一さんの力だけでも十分にやって行けると言ったけど。

光「俺は決して翔さんの名前に乗っかって甘えるつもりはもちろん無い。…ただ、お世話になった翔さんに恩返しをするって意味でも、ここは暖簾分けって形がいいと思ったんだ」

そう言って、全員に許しを乞う様に頭を下げた。

当然、反対する奴なんて一人も居なくて、全員が拍手を送っていた。


俺が復帰した事を、店の連中が言ったのか何処かで嗅ぎ付けたのかは分かんないけど、ヘルプの分際なのに『おかえり』と何度も客に言われた。

まぁ三年もブランクがあったから、通い続けてた客もそれほど多くはなかったけど。


復帰初日とあって、マネージャーには途中で上がる様に言われた。

本当は、申し訳なかったけど…正直助かった。

女たちのキツい香水の匂いに頭痛がし始めてたから。
控え室に戻ると、ヘルプで控えてる奴や指名待ちの奴が数人居て。
『お疲れ♪』って肩を叩かれた。
そこに控えた奴らはほとんど顔を知らない新人だったけど。

『なぁ、そう言えば智って【starlight】に居たんだよな?』

智「……ん」

『"潤"って、知ってるか?』

懐かしい名前を耳にした。
あっちを辞めてから殆んど顔見てないけど、元気でやってるんだろうか。

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