
愛すると言う事…
第7章 episode 7
『…知ってる』と答えた俺に、そいつがパッと俺の傍まで来ると物凄い勢いで喋り始めた。
『そいつが、今度の光一さんの店に引き抜かれたらしいんだよ。だけど、そいつ…光一さんよりこっちがいいって言ったんだって!【starlight】ではNo.1らしいけど、こっちじゃそうは行かねぇだろ!って話だよな!』
…マジか。
あいつ、とうとうトップに立ったんだ。
智「………あっちでも、たいした変わりはないだろ」
『はぁ?お前馬鹿か。あんな店とこっちじゃ比べもんになんねぇだろ!』
……何だ、こいつ。
ってか、俺こいつと初対面だよな?
そう思ったらムカついてくる。
まだ何か喋ってたけど、シカトする事にした俺。
煙草を咥えたら、その煙草をスッと取られてそいつに視線を向けたら、何故か俺を睨み付けてた。
智「………何?」
『お前、何だよその態度。マジムカつくな?』
智「………」
『何も言えねぇのかよ。…何だ、喋れねぇのか?』
馬鹿にした言い方を、わざとらしくするこの男を本当に翔さんが雇ったんだろうか。
信じられないと言う思いが捨てきれず。
だけどこの【Club Night´s】 で働いてる事には変わりないから、やっぱり翔さんが雇ったんだろうなぁ、と揉め事を起こさない様に必死で堪えてた。
なのに、こいつはそんな俺の思いも知らず延々と俺と【starlight】の文句を言い続け。
涼「……おい。……いい加減にしろ」
立ち上がろうとした俺より先に、部屋に顔を出した涼介さんが声を上げた。
涼「お前、この店で働きてぇなら他所の悪口言ってんじゃねぇぞ」
『いや、でも涼介さん!』
涼「煩ぇ。…それに、お前より智の方が先輩だ。タメ口聞くのも100年早ぇんだよ」
『え?だってこの人三年もブランクあるじゃないっすか!俺より下でもいいくらいっすよね!』
とうとう涼介さんが胸ぐらを掴んでしまった。
俺は咄嗟に振り上げられた涼介さんの腕を掴む。
智「………いいっすよ。涼介さん」
涼「智…」
智「……こんな奴の為に、涼介さん説教食らう必要ない」
俺の言葉に、涼介さんは掴んだ腕を離し舌打ちする。
睨み合う二人。
『涼介さん、指名入り……どうかしました?』
呼びに来たフロアスタッフが驚いてて。
俺は『……大丈夫』と答え涼介さんを控え室から連れ出した。
