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愛すると言う事…

第7章 episode 7


空港に直接集合。

だから俺と翔さんは車で空港に向かった。
久し振りに乗った翔さんの車は、やっぱり翔さんの匂いがして、静かに流れる洋楽は心地良かった。


空港に着くともう従業員の大半が揃ってた。

斗「翔さん♪おはようございます♪」

マネージャーが、早朝だと言うのに満面の笑みを向ける。
皆が楽しそうに笑ってて。
本当なら去年も一昨年も、行くはずだったのに。

そう思ったら、やっぱり申し訳ない気持ちが込み上げた。

翔さんは気付いたのか偶然か、俺の腰に手を添えて数回撫で叩いた。



搭乗手続きも全て滞りなく終わり、何の問題もなく全員が飛行機に乗り込む。

空港も初めてなら、飛行機も初めてな俺。

翔さんもシゲさんも驚いてたけど、俺は『…修学旅行に行かなかったから』と答えた。

シ「勿体ない。せっかくの修学旅行」

シゲさんがそう言ってすぐに、俺に友達なんか居なかった事を思い出したのか何とも言えない顔になる。

智「…別にいいですよ、今こうして経験出来たし」

シ「…智」

まだシートベルトもしてない今、シートの隣のシゲさんが、俺を抱き締めてくる。
反対の隣に居た翔さんが物凄い形相で睨んでたけど俺には見えない。
シゲさんが慌てて離れたからきっと相当な顔だったんだろう。



飛び立って少ししたら、真っ青な海が見えて。

綺麗だった。

翔さんが居て見ずらかったけど…

あんなに綺麗な海なら、入って行かなかったかもなぁ…って、ちょっとあの日を思い出した。


そんな事を思った後は、記憶が無い。

ずっと寝てたらしい。

翔さんの肩に頭を乗せたまま。


起きたら何故か翔さんが不機嫌だった。
聞いても何も言わないから、シゲさんに視線を向けてみる。
苦笑気味のシゲさんは『最初、俺の肩に頭乗せたから』って言われた。

智「……すいません」

シ「いや、俺はいいんだけど…」

智「………無意識な奴にムカつかれても、困るんだけど」

翔「無意識だからムカつくんだろ」

「「……………」」

俺もシゲさんも、呆れて言葉が出なかった。

今朝まであんなに甘ったるい雰囲気だったくせに。
この人、こんなにヤキモチ妬きだったのか。

吐き出したい溜め息を必死で飲み込む。

今吐き出したらますます状況が悪化するだけだから。

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