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愛すると言う事…

第7章 episode 7


飛行機が無事に空港に着陸して。


俺たちが降り立ったのは、ベタな"ハワイ"。

ヨーロッパとかの案も出たらしいけど、翔さんは最後までハワイ推しだったって、後からマネージャーに聞いた。


空港から真っ直ぐホテルに向かうと。
30人以上の団体とあって、ホテル側もそれはそれは丁寧な対応で。

『何年か前に来た時より対応がいい』って誰かが呟いた。


チェックインを全てシゲさんが済ませると、部屋のカードキーを部屋割りしたそれぞれに配る。

翔「ここからは帰るまで自由に過ごしていいぞ?…ただ、連絡だけは忘れない様に」

翔さんがロビーでそう告げると、全員がバラバラと散っていく。

もうこの時すでに夕方をとっくに過ぎてた。


割り当てられた部屋に向かった俺と翔さん。
他の連中は3人だったり2人だったり、人数はバラバラで。

俺たちの部屋は、それなりに広くて綺麗な海が一面に眺められる場所だった。


飛行機でずっと寝てたくせに、それでも疲れてる気がするのは何もかも初めてだからだろうか。

大きな部屋に大きなソファ。
奥に見えるベッドもクイーンサイズ。

荷物を置いてソファにどさりと座った。

翔「疲れたか?」

智「……少し?」

翔「飯、ルームサービスにするか?」

智「…あんま食いたくないんだけど」

翔「………」

やっぱり、睨まれた。

分かってて言ってみた。
全く食わないと翔さんは凄ぇ怒る。
一口でも食えば満足そうにしてるから、よっぽど具合が悪くない限りは一口でも食うようにしてる。

智「……じゃあ、ルームサービス」

俺がそう言うとやっぱり満足そうに笑った。

流暢な英語でルームサービスを頼んでる翔さん。

英語、話せたんだ…

部屋まで運ばれて来た料理は、俺にしてみたら多い品数だったけど。
翔さんが結構食うからちょうどいいのかもしれない。



洒落たグラスにシャンパンの泡が揺れてる。

大きな硝子の向こうは真っ暗だけど、ポツンと月が真っ暗な海を照らし一本の筋を描く。

窓際に立つ俺を後ろからふわり抱き締めてくる。

翔「………ハァ…」

智「……何?」

翔「いや…」

智「……思い出す…?」

翔「まぁな?」

あの日、冷たくて真っ暗な海に入って行った俺。


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