
愛すると言う事…
第8章 《After that episode》
驚いた顔してる智に、俺は無事な姿を見られただけで安堵する。
でもやっぱり聞かずにはいられなくて。
潤「なぁ、何があったんだよ」
智「………あー…まぁ、ちょっと」
『ちょっとって何だよ!』って、そう聞こうと思ったのに。
突然後ろから腕を引かれた俺は、睨む様に振り返る。
居たのは、オーナー翔さんだった。
翔「……誰だ?」
ゾクッと背筋が凍りそうな低い声を聞いた俺は、身体が硬直する。
目の前の智が『…翔さん。…潤だって』と、俺を庇う様に間に入ろうとしてくれたから、掴まれた腕は解放された。
翔「……潤?……【starlight】か」
潤「…はい」
智「……潤。……悪い。また日を改めてで、いいか?」
潤「あ、あぁ。…もちろん」
また『…悪いな?』って申し訳なさそうな顔した智を、翔さんが左側を庇う様に連れて行ってしまった。
その後ろ姿に、俺は愕然とする。
智が…
左足を、少し引き摺るように歩いてた。
それは、怪我をしてるとかの次元じゃない。
完全に、身体を支えられる程の力が入らないって感じに、俺には見えた。
マンションに帰って、俺はもう智の後ろ姿が頭から離れなくて。
ずっとハッキリしなかった自分の想いに、こんな事で気付くなんて…
智がオーナーより先に俺に相談してくれた時はマジで嬉しかった。
当時、達也さんとオーナーが付き合ってるって聞いて"マジかぁ"とは思ったけど、気持ち悪いとかおかしいだろ?って感情は全くなくて。
寧ろ、ちょっともしかして俺…なんて思いもあった様な、ない様な。
翔さんからのアプローチだったとしても、遅かれ早かれ智は彼に惹かれてたのか…
いや、もし俺が先だったら?
そんな馬鹿な事を考えてたら、眠気も何処かに飛んでしまった。
近いうちに、智からの連絡はあるのか…
智は俺が聞いても、包み隠さず教えてくれるんだろうか…
