
愛すると言う事…
第8章 《After that episode》
潤「…あれ?……今日は?定休日じゃねぇよな?」
智「……ん、今日はシゲさん…経理やってる人に頼んで休ませてもらった。…潤と話したかったから」
潤「オーナー、知ってんのか?」
智「……あぁ。…だって、一緒にここに居るんだぞ?話さない訳にいかねぇよ。……"俺も休む"って馬鹿みたいな事言い出してちょっと喧嘩したけど(笑)」
ソファに座ってた智が立ち上がると、空になったビールの空き缶を手に取る。
俺が慌てて変わりに捨てようと手を伸ばしたけど。
智「…気にすんな。……大丈夫」
苦笑する智は、気遣われる事に抵抗がある様だった。
現に。
智「……今まで通りにしてくれていいから。…嫌なんだ。"普通"じゃないって言われてるみたいで」
そう言って眉を垂らす智。
何だか少し……
胸が苦しくて、居たたまれなくなった。
だけど…
それすらも、こいつは嫌なんだろうなぁって思ったら、俺は黙ってまた腰を下ろすしかない。
知らない間に、とてつもない経験をしてた智。
店を移らなきゃ、こんな事にならずに済んだんじゃないか…
一瞬、そう思う自分が居た。
だけどそれは単に俺の思い違いに過ぎなくて。
智の後ろ姿が、身体はどうであれ幸せなんだと言ってる。
苦しいくせに、それはそれで良かったのかもしれないと思い直した。
