
愛すると言う事…
第8章 《After that episode》
潤「……智…ごめん」
智「…ん?…何が?」
終始俯いた智に、俺は決意する。
驚かせるだろうし、もしかしたら泣かせるかもしれないけど、せっかく翔さんが与えてくれた時間だ。
ちゃんと言わないと…
潤「……俺、智の事……好きなんだ」
声も出せずパッと顔を上げた智は、やっぱり驚いてた。
今度は俺が、俯いた。
潤「智が入院したって聞いて、居てもたってもいられなかった。だけど、俺にはどうする事も出来なくて…ずっと、気になってた。智の事、頭から離れた事なんか一度もなくて」
智「………」
潤「つい最近、気付いたよ。…ってか、気付いてたのに気付かないフリして逃げてたのかもな?……もしかしたら、店辞める前からだったかもしれない」
智「………」
潤「あのまま帰ろうと思ったのに、動けなかった。…翔さんの想いが、俺なんかじゃ到底敵うはずないって気付かされたから帰りたかったよ。…でも、言ったらスッキリ出来るかな…と思ってさ」
多分、ずっと智は俺を見つめてる。
驚いて顔を上げてからずっと。
だけど、俺には顔を上げる勇気なんてないから、最後まで俯いたままで。
智「……ありがと、潤」
そう言われたから、何とか顔を上げたけど物凄い情けない顔してたと思う。
実際、困った顔をしてた。
智「………潤がそんな風に想ってくれてるって、気付けなかった。…だから、ごめん。でも、ありがと。…嬉しいよ」
潤「………」
智「……やっぱ、俺には翔さんが必要なんだ。もちろん潤も、俺には必要だけど…潤の想いに答えてやれない。…それはごめんな?だけどマジで本当に、嬉しかったから…ありがと」
"ありがと"……その言葉だけで、俺はかなり救われた。
"ごめん"って言葉は、気付けなかった事と答えられない事に対しての智の精一杯だと、俺には痛い程伝わったからそれで十分。
俺を見つめてる智は、ちょっとだけ泣きそうだった。
だから俺は笑ってやった。
『…ありがとう』って、笑顔で言えたからもう俺には感謝しか残ってない。
