
愛すると言う事…
第2章 episode 2
ここ最近の翔さんとの事を、包み隠さず全て話して。
まぁ…
キス、の事は省いたけど。
潤「……マジ、か…」
智「………」
潤「あの店、結構有名だろ。店自体は小さいけど、客層はかなり高いからそこら辺の女じゃ敷居高くて入れないって噂だぞ?」
智「……へぇ」
潤「凄ぇな♪そんな店に引き抜かれるなんて。まぁ、智なら不思議でもねぇか」
俺にはよく分かんないけど、潤は何故か嬉しそうだった。
今の店よりかなり高級な所らしい。
そこに引き抜かれるって事は凄いんだと、やたら熱弁してた。
しかも自分の事の様に嬉しそうに。
智「…潤も、行ってみたいのか?」
潤「そりゃなぁ…叶うならそんな凄ぇ店で働いてみたいさ。…けどきっと無理」
智「…何で」
潤「客が付かねぇよ(笑)ヘルプ止まりだろ、俺なんか。まぁ、智なら十分上行けるだろうから、行けよ。いいと思うぞ?オーナー説得すんなら俺も手貸すし」
潤はそう言って笑った。
こいつだけは唯一俺に嫉妬心をぶつけて来ない。
寧ろ、逆だ。
いつも『気にすんな♪』って笑ってた。
だからこいつだけにはちゃんと話しておきたかったのかもしれない。
智「……ぁりがと」
潤「あはは(笑)!声ちっさ!…まぁ、頑張れよ♪」
物凄く照れ臭かった。
笑ってくれて良かったけど、"ありがとう"なんて言う場面が今までなかったと思う。
そこまで人と関わって来なかったから。
だけど、ばあちゃんが『ありがとうとごめんなさいだけは忘れるな』っていつも言ってた。
ばあちゃんの影響デカいなぁ、俺。
親の記憶よりばあちゃんの方が鮮明だ。
6時過ぎに帰って行った潤。
俺は少しだけソファに横になった。
ベッドで寝たら絶対起きれないから。
卒業まで後一か月。
来月にはうんざりする高校生活もやっと終わる。
ばあちゃん、俺頑張ったよな?
無欠席って、凄くねぇ?
遅刻は…したけど…
そんな事を思いながら、瞼を閉じた。
また…
夢を、見た。
久し振りだった気がする。
汗だくになった身体を、シャワーで流し。
リビングに戻ったら7時をとっくに過ぎてた。
卒業式の話やら何やらあるって、誰か言ってたなぁ…
怠くて仕方ないと思いながら。
また堅苦しい制服を着てマンションを出た。
