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愛すると言う事…

第2章 episode 2


やっぱりこの日も屋上へ向かった。

一回くらい、式の練習に出てやるか…

青い空に浮かぶ真っ白な雲を眺めながらそんな事を考えてたら、突然目の前に顔を出した男。

二宮和也…

特に吃驚もせず無反応な俺に、つまらなさそうな顔で。

和「本当…反応薄い…大野さん」

智「………」

和「ねぇ。皆、体育館に行ったよ?」

智「………」

和「大野さんが行く訳ないか(笑)」

のそっと、起き上がった俺。
吃驚した顔で俺を見てた二宮和也。

いつもいつも…何で昼寝の邪魔をしに来るのか分かんない。
チラッと見ると、何故かウキウキしてる。

面倒臭ぇ…

そのまま屋上を出ると、後を付いてくる二宮和也が居て。
別にこれと言って邪魔な訳でもないし、一人で勝手に話してるし。
鬱陶しい訳じゃないから、そのまま放置した。


体育館に入ると、うんざりする程の生徒の数。

恐らく俺のクラスだろうと思われる列の最後尾に並んだ。
椅子に座った途端、前の男が振り向き驚愕の表情。
あっと言う間にクラス全員の視線を浴びた。

今更、気にする事でもない。

ちょっと変わった事すると必ずこの反応だ。
これまで嫌と言う程、経験してきた。


下級生だとは思ってた。
でもまさか、生徒副会長だったとはな…

生徒会長の隣に並ぶ、二宮和也。

やっぱりクソ真面目な男だったか。


一通り終わった後、ゾロゾロと教室に戻る生徒の波。
俺は最後尾をダラダラと歩き、そのまま帰ろうと思ってた。

『大野』

背中に声を掛けられ振り向いたら、スーツの男が居て。
多分、担任だった気がする。

『お前、就職と進学…はないか。ちゃんとしてんのか?』

智「………」

『話そうとしてもお前さっさと帰るし…どうすんだ、この先』

智「……就職する」

『決まってんのか?』

智「………まぁ」

『どこだ?』

言う必要があるのかと問えば、当たり前だとデカい声で言われ。
『…サービス業』とだけ答えた。
更にいろいろ聞かれて面倒だった。
適当に返事をして、最後に『後で就職先教えろよ』と言われたけど、俺は返事をする事なく踵を返す。

何だかまだ言ってたのを無視して、そのまま体育館を出た。


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