
愛すると言う事…
第2章 episode 2
マンションに帰ったら、昼を過ぎてて。
制服を脱いでスウェットに着替えそのままベッドに潜り込む。
携帯の音で目を覚ました。
鳴り続ける音は、メールではなく着信。
智「…………はい」
翔『…智か?』
智「……誰?」
翔『お前っ…櫻井だ。…寝てたのか?』
あぁ、翔さんか。
そう言えば、登録してなかった。
翔『……登録しとけよ…ってか、学校は?』
智「……行って来た」
翔『そうか。…とりあえず全部片付いた。それだけ教えとくわ』
智「…あー…ありがと」
翔『………』
智「……何?」
翔『あ、いや。いい』
智「……とりあえず、今日オーナーに話してみる」
翔『あぁ、分かった。決まったら電話くれ。俺も詫びの電話入れなきゃなんねぇから』
智「……ん」
電話を切って時間を確認したら、出勤まではまだ少し早かった。
それでももう寝る気にはなれないから、リビングのソファで煙草を咥える。
ユラユラと立ち上る紫煙を眺めながら、開店前の方がいいかと思った。
携帯からオーナーの番号を呼び出し通話を押した。
長いコール音の後、漸く聞こえてきたオーナーの声は気怠そうで。
智「…すいません、智です」
『……あぁ……どうした?』
智「…ちょっと、話したい事あるんですけど。開店前と閉店後、どっちが都合いいかと」
『…あー……一時間くらい待ってくれ。コンビニの隣の喫茶店、分かるか?』
智「…はい」
『じゃあそこで一時間後に』
そう言われて『分かりました』と電話を切った。
その間際に、微かに人の声が聞こえ…
恐らく、達也さんの声だったと思う。
潤の言ってた事、本当だったんだ…
一時間後、約束の喫茶店に向かった。
スーツで行く訳にはいかないから、ジーンズとTシャツにシャツを羽織って。
10分程遅れてやって来たオーナーは『悪いな、待たせて』と、若干息切れしてた。
智「…いえ、俺こそわざわざすいません」
『何か話したいって、また珍しいとは思ったけど…ある程度の覚悟はしてきたよ(笑)』
オーナーに『達也にも言われたしな』って苦笑いされて。
首を傾げた俺に『近いうち辞めるかも…ってな』と言われた。
何処から漏れた?
…潤?
いや、アイツは言わない…多分。
況して先輩の達也さんになんて…
それに親しくしてた奴も居ないと思う。
なら、誰だ?
