
愛すると言う事…
第2章 episode 2
無事に卒業式を終えた。
何故か、翔さんが来て。
仕事用のスーツで来たもんだから、保護者席は終始ざわついてた。
特に奥様連中の目がキラキラしてた気がする。
結果。
担任に説教され。
智「…最悪。………本当、マジで」
翔「あはは(笑)…悪かったって。スーツなんてこんなんしかないからなぁ…」
智「…だったら、来んなよ。……3年間説教なんかされた事ねぇのに…最後の最後でこれって、マジ最悪だわ」
翔「説教される程教室に居なかったんだろ?」
そりゃあ…そうだけど…
まぁ思い出深い高校生活だった訳じゃないけど、最後の最後が説教で終わるってどうだ?
若干不貞腐れ気味に煙草を咥える俺に、翔さんは『悪かったって』と頭を撫でる。
…俺、ちょっと好きかも。
頭撫でられんの。
それだけで"最悪"って思ってたついさっきの事もどうでも良くなってきてる。
単純だなんて思いながらも悟られたくないから不貞腐れてるフリしてたのに。
翔「智、結構好きだよな?」
智「………何が?」
翔「頭。…撫でたら機嫌直る♪」
バレてるし。
ムカつく。
智「……言わなくない?…普通」
翔「我慢してたぞ?俺、結構早く気付いてたんだから」
智「…///」
翔「あんま可愛いから、言ってみた♪」
恥ずかしい事、この上ない。
なら、最後まで言うなよ///
翔さんを好きだと自覚して…翔さんに『好きだ』って言われてから、この人は人が変わったみたいに甘い空気を醸し出し始めた。
恥ずかしいからやめてほしいのに、普通にしててほしいのに…
翔さんは毎日毎日俺にくっ付いて来る。
ソファに居ればピッタリくっ付いて座るし、ラグの上に座ってれば後ろから抱き締めて来るし。
こんなデカいリビングなのに、常にくっ付いてるから部屋が有り余ってる気がしてきた。
この間なんか、『一緒に寝る』って聞かなくて。
ベッド使わないって言ったくせに、俺が寝ようとしたら潜り込んできたから、俺がソファで寝ようと寝室を出てみた。
大人げなくいじけて不貞腐れ始めた翔さん。
もう本当に手が付けられない。
仕方なく一緒に寝てやったけど、まぁ寝れたもんじゃなかった。
恥ずかしさと変な緊張で、結局朝まで眠れず。
翔さんだけがただただ、元気だった。
