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愛すると言う事…

第2章 episode 2


翔さんの店に初出勤の今日。

通常出勤時間より1時間早めに向かった。
翔さんはいつもと同じでいいって言ってたけど、新人なんだからそうはいかない。

店に着いたらマネージャーが居た。

智「…初めまして。大野智と申します」

頭を下げた俺に、マネージャーはちょっと吃驚してた。

斗「は、初めまして。…マネージャーの生田斗真です」

翔さんは笑いながら『こんな真面目に挨拶したホスト今まで居なかった』って言ってたけど、俺にしてみたら当然の事だと思ってた。


そのうち、パラパラと従業員たちが出勤してきて。

翔「今日からうちで働く智だ。前の店じゃNo.1背負ってたけど、ここじゃ新人だからいろいろ違う事もあると思う。まぁ、仲良くやってくれ」

智「…よろしくお願いします」

頭を下げた俺に、先頭に居た男は手を差し出す。

光「光一です。噂は聞いてるよ。…よろしく」

智「…よろしくお願いします」

握手をしたら、翔さんが『No.1だ』と教えてくれた。

その後は店の中を一通り説明されて、全員の自己紹介を受けた。

何となく…

前の店より従業員同士の仲がいい気がする。
お互いライバルって感覚はあるんだろうけど、それほど殺気立ってない。
何ならちょっと温かい雰囲気すらした。

初日って事もあって、俺はフロアに出る事は無かった。
裏でただ、先輩たちの様子を見て店の雰囲気を覚えてほしいと、マネージャーが言ったから。

斗「うち、他のホストクラブとちょっと違うんだよね。…あんまりホスト同士がガツガツしてほしくないってのが翔さんの考えで。だから、ランキングは一応毎月出して発表はするけど、それはお互いのいい刺激にする為なんだ」

智「……へぇ」

斗「智くんは、前の店でNo.1だったんでしょ?」

智「…あー、まぁ一応」

斗「翔さんが『本当この店に合う男だ』って言ってたんだけど。…向こうで営業とかしてなかったんだって?」

智「…はい」

斗「何で?客、欲しかったでしょ?」

智「…特に。給料貰えてれば良かったんで」

斗「ははは(笑)!本当?だって客たくさん付いたら給料増えるからその方が良かったでしょ?」

智「…俺、本当興味ないんで」

マネージャーはちょっと笑いながら『へぇ!』ってやたら興味津々な様子だった。

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