テキストサイズ

愛すると言う事…

第2章 episode 2


今、言っても大丈夫だろうか。
まだ、間に合いそうな気がする。
深入りする前に、離れがたくなる前に。

翔「智…シャワー、「…俺が、親を殺した」」

ボソリ呟いた俺に、翔さんの顔は固まり撫でてた手も同時に止まった。

翔「…さと、し?」

智「……親戚の家、たらい回しにされたのはその所為。『人殺しなんて世話出来ない』って…ばあちゃんは、そんな俺でも『孫には変わりない』って、育ててくれた」

翔「人殺しって…どう言う…」

智「…そのまんま」



小学5年になってすぐ、俺の温かくて幸せだった家族は居なくなった。

学校から帰ったら母ちゃんが『おかえり』って笑ってくれて。
おやつとジュースを用意してくれた。
いつもの風景。

だけど、その日は違った。

いつもの様におやつとジュースを用意してくれて、母ちゃんに学校の話をしてた。
玄関で物音がして、母ちゃんは不思議そうな顔しながら玄関に向かった。
すぐに戻って来た母ちゃんは顔面蒼白。

母ちゃんの後ろに、全身真っ黒な服着たデカい男がいて。

『母ちゃん!』って叫んだ俺に、母ちゃんは『逃げなさい!』って何度も叫んだ。
真っ黒な男は『煩い!黙れ!』って、母ちゃんを殴った。

俺はそいつが包丁持ってるなんて知らずに飛び掛かった。
小学5年の俺なんて、デカい男にはたかが知れてて。
すぐに吹っ飛ばされた。

その男はそのまま家中を掻き回して、母ちゃんの財布や大事な通帳やら根刮ぎ持って出て行こうとしたから、『母ちゃんを離せ!』って男の腕にしがみ付いた。
やっぱり吹っ飛ばされて…

男はそのまま母ちゃんを引き摺ったまんまタクシーで…消えた。



母ちゃんは…


遺体で見つかった。




父ちゃんがすぐに帰って来て、俺を抱き締めてくれた。
犯人も、タクシーに乗った所為ですぐに捕まったけど…

父ちゃんが首にした、元部下だったんだ。

ずっと、父ちゃんは泣きながら母ちゃんの亡骸に謝ってた。
だけど、俺は幼かった所為もあって父ちゃんが許せなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ