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愛すると言う事…

第3章 episode 3


隅の隅に、智はグラスを手に一人ポツリと座ってる。

そこに斗真が座ると、顔を上げ何かを話してる様だった。
時折、ほんの僅かに上がる口角。

斗真には光一が居る。

"苦手だ"と言ってた人との関わりも、斗真とならそれなりにやってる様で安心なんだけど。
ちょっと、妬ける。

光「…翔さん。大丈夫ですよ♪斗真は♪」

そっと近付いて来た光一が、小さく耳打ちをした。
『気にしてねぇよ』って言っては見たものの、光一には完全にバレてた。

光「…智、ちょっと不思議な雰囲気ありますもんね?」

翔「まぁ…正直言うと、目離したら居なくなりそうな気がするんだ」

光「分かります、何となく。フラッと消えそうな…」

翔「…あぁ」

光「どうします?目が覚めて居なくなってたら…」

翔「………探し出す。絶対」

コソコソと二人で話してた。
"探し出す"って言葉に、光一は笑った。
けど、『言って下さい。手、貸しますから♪』と付け加えてポンと肩を叩かれる。
『頼むわ』と返して、智の元に向かった。


翔「楽しそうだな?」

二人の傍に行って声を掛けると、斗真がニコニコしながら『翔さん♪』って笑った。

智も、よく見ないと分からない程度だけど、いつもよりは楽しそうに見える。
斗真とは気が合うんだろう。

普段、仕事中は殆んど酒を飲む事がない斗真。
それほど強くは無いから、たまにこうして飲むとすぐに酔ってニコニコしながらくっ付いて来る事が多い。

光一は心配になったりしないんだろうか。

やたらくっ付いてる二人は、本当にベッタリと腕同士が密着していた。

翔「智。…そろそろ帰るか」

智「………ん」

ゆっくりと腰を上げた智に、斗真が少し残念そうだった。
『智くん、今度二人で飯でも行こう♪』なんて声を掛けられて、『……ん』って返事をする智。

全員に『お疲れ様でした!』って声を掛けられて『店にはちゃんと来るよ』って笑って手を振ると、『ゆっくりしてくださいよ(笑)』なんて笑われた。



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