
愛すると言う事…
第3章 episode 3
名前を叫ばれた智も、スプーンを咥えたまま顔を上げてすぐに目を見開き驚いた顔をしたけど、その衝撃で噎せてしまった。
翔「おい。大丈夫か?」
背中を擦って水を渡すと、和が楽しそうに笑って『翔ちゃんっぽい♪』って、いつか聞いた台詞を吐いた。
智「………ハァ」
翔「大丈夫か?」
智「………ん、何とか」
翔「和、智の事知ってんのか?」
「「高校一緒だったんだ。大野さん(智くん)の一つ下だよ」」
まるで双子の様に寸分狂わず和と雅紀が同じ台詞を吐いた。
本当に仲のいい二人だ。
智は未だ不思議顔でポカンとしてる。
智「………お前、ニノ………だよな?」
和「うん、ニノだよ♪」
智「……え?……生徒副会長…だろ?」
和「そう♪生徒副会長やってるニノちゃん♪んで、屋上で昼寝の邪魔してたニノちゃん♪」
智「………」
雅「おーい!智くん?…大丈夫?」
智「………5つ下の、彼氏…」
雅「そうだよ♪和が俺の彼氏♪」
あぁ、智が脳内パニック起こしてる。
情報量が多過ぎて処理し切れない様だった。
和が高校生なのは知ってたけど、学校までは俺も知らなかった。
ポンとしてた智が、飲み込めたのか諦めたのかは分からない。
1/3程食べた炒飯をまた口に運び始める。
雅「あはは(笑)!智くん、考えるの放置した!」
翔「お前ら、知ってたのか?」
「「何を?」」
翔「俺と智の事」
和「まーくんがいつも話してくれてたからね♪」
雅「和がいつも屋上で昼寝してる綺麗な顔した先輩が居るって言ってたから知ってたよ♪」
「「………」」
和「まーくん全然会わせてくれないんだもん!」
雅「だって翔ちゃん、いっつも営業時間無視して来るんだもん!」
仲良過ぎだろ…
隣の智が。
スプーンを置いた。
和「…あれ?不味かった?」
半分ほど残った炒飯を見て、和が残念そうに呟いた。
雅紀は特に気にした風でもない。
何度か智を連れて来てるから、少食なのも雅紀は分かってるから。
智「……んーん。…美味かった」
和「え?」
雅「智くん少食なんだよ。これでも食べてくれた方♪」
残った智の炒飯を、俺が食べ始める。
これもまたいつもの事。
