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愛すると言う事…

第3章 episode 3


だから雅紀は俺の分を出さなくなった。

智の方を少なくすりゃいいのに…って言ったけど、『智くんにはたくさん食べてほしいの!』って聞かなかった。

まぁ分かるけど。

雅紀の店のメニューはどれも平均すると比較的量が多い。
その割りに値段は高くはないから客もそれを目当てで来てる。

和「翔ちゃんは食べ過ぎだよね♪」

雅「そうそう♪でも智くんと来る様になってから量が減ったよ?智くんの残り食べるだけで済んでるもん♪」

カウンターの中の二人は楽しそうに笑ってそんな会話をしてて。

何故か智が照れ臭そうだった。

煙草を咥えてそっぽを向く智を、二人は『『可愛い♪』』って笑った。

散々茶化されて、智が不貞腐れる前に俺たちは店を出る事にした。

智「………だから、嫌なんだ」

翔「ん?」

隣を歩く智に視線を向けると、不機嫌そうな顔してた。

遅かったか…

智「……人に関わると、あぁやってからかわれたり茶化されたり」

表情と同じ様に声まで不機嫌そのもの。

もう少し早く店を出てれば良かったと、若干の後悔が生まれる。
せっかく最近やっと慣れてきたばかりなのに、また閉ざしてしまっては元も子もない…

翔「まぁ、悪い奴らじゃないんだけど…喜んでくれてんだろ?」

智「……何を?」

翔「俺が、あぁやってあの店に誰かを連れてく事無かったから。…況してや大切に思う人なんて特に」

智「………」

翔「今まで一人でしか行った事無かったからなぁ」

付き合ってきた女たちをこうして人に会わせるなんて、した事無かった。
寧ろ会わせない事が多かったから、雅紀も和も恐らく喜んでくれてるんだろう。

女が居ると分かってても、実際に俺が会わせなかったからいつも心配してくれてた。

翔「俺にとっては雅紀も和も、本当に心許せる友達なんだ。だから、いつも心配してくれてた」

智「………」

翔「上部だけで付き合ってるんならやめろって、何度も言われたよ。…実際、好きでも何でも無かったからすぐ別れたりを繰り返してたし…」

智「……何で、そんなのと付き合うの?」

翔「んー…何だろなぁ…まぁ強いて言えば、ヤルだけ?」

智「…ふぅ~ん」

翔「だから、雅紀は特に昔からの付き合いで俺の事分かってるから…心配してるんだと思う」


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