
愛すると言う事…
第3章 episode 3
今まで付き合ってきた女たちに思い入れなんか無くて。
ただ"女が居る"って言う見掛けと、性欲満たす為の付き合いでしか無かった。
そう思うと、本当に最低だった。
斗真やシゲにも散々言われたっけ。
"枕営業をしない"と言うルールは確実に守り抜いて来たけど、男としてはやっぱりヤりたい時もある訳で。
『だったら"そっち"の店に行く方がよっぽどいい』
シゲなんかは特に、俺を軽蔑するくらいの勢いだった。
智「………人がいいのは、分かるけど。俺は、あんま好きじゃない」
翔「雅紀たち?」
智「…違う。あぁやって茶化されたりすんの」
翔「あぁ。…分かってるよ、多分あいつらも。特に和は人の感情の変化に敏感だから」
智「…だったら……」
翔「まぁ今日だけだろ?…次行っても、もう茶化される事はねぇよ」
智は『…分かんねぇじゃん』って呟いたけど、俺の予想は間違ってない。
あいつらは、そう言う奴らだ。
歩いて来てしまった手前、買い出しもスーパーまで歩かなきゃなんない訳で。
車で来なかった事を激しく後悔した。
智「……翔さん、もう少し足腰鍛えた方がいいよ?」
息切れし始めた俺に、智は平気な顔でそんな事を言う。
そりゃ免許の無い智が、通学の為に歩いてたのは当然で…足腰が俺より強いのは当たり前の話だ。
少し車に頼り過ぎてたみたいだ。
男二人でスーパーで買い物。
そこまで驚かれる事でも無い。
現に店内には手を繋いだ男性が買い物をしてるんだから。
ただまぁ、注目を集めるのはそこじゃなく。
ホストなんかやってる智と、元ホストな俺が並んで歩いてると仕方の無い事で。
智なんて、油断すると逆ナンされそうな勢いだった。
そんな事ばっか気にしてたから、俺の方が油断してて。
『翔くん♪』
肩を叩かれ振り向いたら、昔ちょっとだけ付き合ってた女が物凄い笑顔で立ってた。
まぁ思い出すまで時間が掛かる程度の女だったけど。
『久し振りぃ♪元気だったぁ?』
翔「…あぁ」
『やだ、何か冷たぁい!』
翔「………」
隣の智がカゴを持ったまま動かず。
『あれ?弟なんか居たぁ?』
甘ったるい喋り方は本当に嫌気が指す。
翔「…いや」
『えぇ?誰?可愛いじゃん♪』
この尻軽女。
マジで臭ぇ。
