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愛すると言う事…

第3章 episode 3


智「……じゃ。先、行くから」

翔「なぁ。…何で一緒に行かないんだ?」

智「…だから。翔さんオーナーだろ?」

翔「オーナーだったら何で駄目なんだっつってんの」

智「…ハァ……あのさ、俺が翔さんと一緒に居るってだけで贔屓されてるって思われがちなのに、出勤まで…って示しがつかないだろ」

翔「………」

智「…翔さんが公私混同してるって思われるから。そうじゃない、なんて俺が言って説明したって説得力もくそもねぇだろ」

翔「……マジか」

智「…俺は、いい。けど、翔さんがそう言われんのはムカつくから///」

智がそこまで考えてくれてるとは思っても無くて。
単純に一緒に行こうと、軽い気持ちで言った俺は本当に浅はかだと知る。

年下のこいつに、ここまで考えてもらってる俺は幸せな男だと改めて思い知らされた。

翔「……智…」

智「…ん…?」

翔「…何か……俺、駄目だよな…マジで、情けねぇ…」

智「………」

翔「悪かったな?…深く考えもしないで…」

智「……まぁ…仕方ない。…俺にはもう、翔さんしか…居ない、から…///」

俯き物凄い小さな声でそう言った智は、明らかに顔が真っ赤で。

『……もう、行くから///』って、逃げる様に出て行った。


いつか…

斗真が言ってた。

『翔さんが思ってる以上に翔さんの事想ってるし、惚れてますよ?』

ふ…と、そんな言葉を思い出した。

満更大袈裟な話でも無さそうで、嬉しいやら恥ずかしいやら…
でもそんな智の想いを知って、ますますあいつを笑顔にしたくなる。

俺の傍で笑ってほしいと、願う。

この先あいつが幸せに笑って過ごす時間が、少しずつでもいいから増えていってくれればと、心の底から願う。

それを俺の手で増やしてやりたい。
俺の傍で。

これからの道があいつにとってどんなに険しくても、必ず隣に俺が居るから。

迷った時は手を繋ごう。
泣きたい時は、抱き締めてやるから。

今背負ってる物を、必ずいつか…全部取っ払ってやるから…


改めて、そんな想いを胸の中で強く誓った。



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