
愛すると言う事…
第3章 episode 3
最近…
智の携帯が、よく鳴る。
もちろん、ホストやってるんだから客からの連絡だったりアフターや同伴の誘いがあるから携帯が鳴るのは珍しい事じゃない。
だけど、智はヘルプな訳で。
今現在、俺が把握してる限り智には固定の客は居ない。
他の奴らに聞いた事もない。
なのに、智の携帯が頻繁に鳴るようになった。
しかも、それの殆んどがメール。
時間を問わず鳴る様になった。
翔「最近、よくメール来るんだな?…客でも付いたのか?」
智「…………いや」
翔「客じゃねぇの?」
智「………違う」
分かってて"客か?"と聞いたら、智も俺がわざとだと気付いてなのか"違う"と言う。
翔「……じゃあ誰?」
聞いてから聞き方を間違えたと気付く。
"嫉妬"だと思われた。
違う。
俺が気にしてんのはそんなんじゃない。
あの"夫婦"なんじゃねぇか?って事。
やっぱり智はふっ…と小さく笑った。
翔「お前……言っとくけど、ヤキモキとかじゃねぇぞ?…叔母さん夫婦なんじゃねぇのか?」
智「………」
無言で返すって事は、認めたって事だろ?
翔「………金か?」
智「…違う。……潤だから。前に一緒に働いてた奴」
苦しいな、その嘘。
智はまだ、俺を信用してくれてないのか?
何でもっと頼ってくんねぇんだ…
メールを確認して、返信する事なく画面を閉じた。
"潤"って奴なら普通はメールの返信するだろ…
ジーッと智を見つめても、目が合うことは無かった。
智は俺が聞いた日から携帯をマナーモードにしてる様で。
それに気付いたのは帰って来て智がシャワーを浴びに風呂場へ向かってから。
トイレを出たら、隣の脱衣場から何かの振動する音が微かに聞こえた。
棚にでも置いてあるんだろうそれは、聞き耳を立てなくても聞こえてくる。
俺がこの時に智とちゃんと話をしておけば…
数日後に、俺は後悔なんてもんじゃ済まされない程の思いを知る事になった。
