
愛すると言う事…
第7章 episode 7
今じゃあの頃の楽だった気持ちも思い出せない程、ずっと翔さんが居て。
それを思えば、翔さんが"また居なくなるんじゃねぇか"って不安を抱えるのも納得出来た。
智「……ごめん…翔さん」
とうとう横になって寝てしまった翔さんにぼそり溢すと、『"ありがとう"って言ってあげな?』って店主雅紀が笑った。
三年もの間、どれ程の不安を抱えてたのか俺には想像すらも難しい。
"このまま目覚めないかもしれない"
そんな事を思いながら、俺の傍でひたすらに世話をしてくれてたらしい。
店主雅紀は『時々、泣きながら電話をしてきたよ』と教えてくれたけど、それは決して俺を責めてるんじゃない。
"分かってやれ"
"それだけ想ってるんだ"
と…
それ故の『もう少しだけ言葉にしてあげたら…』って言葉だったんだと知る。
…だったら。
俺は俺の出来る限りで伝えて行こう。
言葉には、出来ないかもしれない。
でも、態度でも十分に伝える術はあるはずだから。
智「……ありがと…翔さん」
俺にしてくれてた様に、俺の膝で眠る翔さんの頭を撫でてみた。
店主雅紀が、優しく笑って『第一歩、だね♪』って…俺の頭を撫でた。
一週間、翔さんは休んでゆっくりする時間を堪能し。
俺も出勤するって言ったのに、翔さんは元よりシゲさんもマネージャーも許可してくれなかった。
翔さんが久々に店に出た日に、マネージャーと光一さんを連れて帰り。
光「まだ今月いっぱいは休んだ方がいい」
斗「そうだよ?智くん、生死をさ迷ったくらいなんだから!おまけに目覚めたと思ったら"15歳"だし!やっと戻ったばっかなんだから駄目だよ!」
光一さんとマネージャーに説教紛いな事を聞かされた。
結果、暇をもて余す日々。
お陰でキッチンの冷蔵庫の中は綺麗サッパリとなり、リビングも寝室も毎日掃除を繰り返して常に綺麗な状態。
翔「ありがたい。…俺一人じゃこんな状態には100パー無理だな」
自慢気に言われる始末。
暇過ぎて飯を作る腕も上がった気がする。
暇見て遊びに来たニノが、店に顔を出さないと翔さんに散々文句を言ってた。
