貴方の涙は俺が拭くから ON
第17章 変われない関係5 ニノ
5-2
普段 本気で仲良くしてる人は少ないけど、これでも俺は意外と顔が広くて
その気になれば かなりの情報網を持ってるんだ
世間話を装って 人から人へと渡り歩いた結果
何となく 過去の輪郭らしきものが見えてきた
それはずいぶん昔
大野さんが京都に居た頃の話
そう言えば、あの頃も 何だか辛そうにしてた時期があったなぁ・・・と記憶が甦る
もう辞めたい、なんて言葉も聞いた気がする
まだ10代だった俺には ちゃんと話を聞くことすら出来ず
只 気休めを言うだけで 何の力にもなれなかった