貴方の涙は俺が拭くから ON
第7章 スケッチブックに隠された秘密7 ニノ
7-1
今日こそ話してくれるのかな、って 密かに期待してたんだけど
俺の方をちらちら見るものの、
ばちっと目が合う前に 視線を逸らされ、
ついに最後までまともに会話もしないまま 仕事は終わった
声もかけずに帰るのは 意地になってるみたいだから
帰り際に話しかけてみたけど
未練たらしいヤツだなんて思われたくない
サラッと挨拶してとっとと帰ろう
「じゃあね、お仕事頑張って」
「え・・・」
内心のがっかりを隠して 笑顔を作ると
「ちょっと待って・・」
思いがけなく袖を引っ張られた