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雪に咲く花

第11章 悲しみを溶かして

亘がマグカップにココアを入れて炬燵の上に置いた。
「ほらっ!温まるぞ」
「いただきます。わっ!甘くて温かい」
雪斗がココアを一口啜った。
「雪斗、今日はよく頑張ったな」
亘が雪斗の頭を優しく撫でる。
佐々木達にされた性的暴力について告白するのは勇気のいったことだろう。
話をするたびに雪斗の声は震え涙があふれていた。
今夜はそんな雪斗を抱きしめてやりたい衝動にかられた。
「亘、俺……」
「何だい?」
「俺、明日帰るよ。そして学校に行く」
雪斗もいつまでも亘と一緒にいたい気持ちはある。
しかし、今のうちなら前に進めそうな気がしたのだ。
「そうか」
「だからお願いがあるんだ」
「何だい?俺に出来ることなら」
「抱いてほしいんだ」
雪斗が小さく囁いた。

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