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雪に咲く花

第18章 崩れていく幸せ

亘が学校を去ってから、数日が過ぎようとしていた。
亘が担当していた国語教師の後任も、既に決まっている。
「亘兄が、いなくなってから女どもは、静かになったな」
「ほんとだね」
颯人のいう通り、亘がいたときと違い、女子達が大騒ぎするようなことはなくなっていた。
その代わりに、心ない言葉が耳に入る。
「なんか、福原先生が、人殺しの子だなんてショックだな」
「そうだよね。だから、先生にも変態趣味があったのかな?」
周りは、何も事情を知らず、偏見で人格までを決めつける。
そんな亘の事情を知った彼らたちは、雪斗との疑惑を深めるばかりだ。
校長や亘の言った世間の現実が思い知らされる。
しかし、亘のことを何も知らず、手のひらを返して批判する人間はゆるせないのだ。
「お前ら、何も知らないくせに、勝手なこといってんじゃねえよ!」
雪斗が、堪えきれず、手を出す前に、颯人が彼らに怒鳴りつけた。
そんな、亘を批判していた連中も、颯人の威厳に圧倒され、何も言えなくなるのだ。

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