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雪に咲く花
第38章 亘の空白
亘が数年間の記憶をなくしてから、3ヶ月ほどの月日がたつ。
教師までの道のりの記憶を失った状態で、不安を抱えながら教壇に立つことになった。
それでも同僚の教師や生徒達の協力により、なんとか手探りながらも教師を務めることが出来ている。
また、昔馴染みの悠希が側にいることもあり、日常生活も慣れて安定してきた。
しかし、1つだけ気になることがある。
「あの雪斗君て子は、あれからどうしたんだろうな?」
気持ちに余裕が出たときに、何故か、ふと思い出してしまう。
あれから、雪斗とは会っていない。
あの日、雪斗の良くない噂を、悠希から聞かされて突き放してしまったが、彼の涙には純粋さがあったような気がした。
しかし、雪斗のことは何も知らない訳だし、どちらかと言えば、昔から知っている悠希を信じる方が無難なのである。
彼が雪斗のことで嘘を言う理由などないはずだ。
「駄目だ。考えるのはよそう」
雪斗のことを頭から振り払い、悠希の方を見る。
悠希は食卓に座って、何かを読んでいるようだ。
「悠希君、勉強熱心なのはいいけど、適当な時間に寝た方がいいよ。ある程度、眠ることで頭が働くんだからね」
時計は、夜の12時を回ろうとしている。
教師までの道のりの記憶を失った状態で、不安を抱えながら教壇に立つことになった。
それでも同僚の教師や生徒達の協力により、なんとか手探りながらも教師を務めることが出来ている。
また、昔馴染みの悠希が側にいることもあり、日常生活も慣れて安定してきた。
しかし、1つだけ気になることがある。
「あの雪斗君て子は、あれからどうしたんだろうな?」
気持ちに余裕が出たときに、何故か、ふと思い出してしまう。
あれから、雪斗とは会っていない。
あの日、雪斗の良くない噂を、悠希から聞かされて突き放してしまったが、彼の涙には純粋さがあったような気がした。
しかし、雪斗のことは何も知らない訳だし、どちらかと言えば、昔から知っている悠希を信じる方が無難なのである。
彼が雪斗のことで嘘を言う理由などないはずだ。
「駄目だ。考えるのはよそう」
雪斗のことを頭から振り払い、悠希の方を見る。
悠希は食卓に座って、何かを読んでいるようだ。
「悠希君、勉強熱心なのはいいけど、適当な時間に寝た方がいいよ。ある程度、眠ることで頭が働くんだからね」
時計は、夜の12時を回ろうとしている。
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