
ロリヴァンプ伯爵の鼻唄🎵
第9章 伯爵とスパイ
「――――…重要人物の君の保護者ってだけで参事官の評価はウナギ登り!私はそんな野心家の参事官に脱帽した一人だ!
君を嫁に貰おうと参事官に、掛け合った事もあったけど…参事官は君を手放さない…
私のようなひよっこではなく…君を――――…っと…お喋りが過ぎた…
いいかい?君は参事官のため…あの屋敷にスパイに行ってもらっているんだ…
内容の薄い報告は…もう見たくないよ――――…」
「――――はい」
衝撃――――…だった…
私は……
出世の道具として…引き取られたのか…
納得した――――……
私は課長の出て行った部屋で一人頭を抱えて泣いた――――…
数時間後――――…涙も乾き…居間に向かうと
そこには誰もいなかった
「お嬢様…旦那様も奥様もお仕事があるからと出掛けられました…内田様も同様」
「――――夏井…さん」
夏井さんは、我が家の事をやってくれる家政婦さんで昔から有森家で働いてくれている
「――――…お嬢様、お手紙…」
「あ――――…うん、ありがとうございます…もう大丈夫です」
私は部屋のゴミ箱に捨てた両親の手紙を思い出す…
