ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
巨人男は施しはくれてやらん。と言いながらも、新しい生活を始めていく前に、一つだけ今欲しいものをタダでくれてやると言ってきた。
だが、この巨人男の言葉は俺を試していると、何故か俺は感じた。
もしここで、物欲であるゲームが欲しいなどと言っていたら、俺は巨人男には受け入れられなかっただろう。
それに俺には、ゲームなどよりももっと欲しいものがあった。
「僕に、新しい名前をください」
巨人男は即答した俺の目をジッと見て、肝の座ったガキだ。とでも言いたげに、少しだけ右の口角をあげて笑ったような顔をして言った。
「分かった。たった一度だけ、お前の欲しいものをタダでくれてやろう」