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遠くの恋人より近くの同僚

第4章 すれ違い

『一華、聞こえる?一華?一華?』


聞こえていますとも。


スマホが地べたに落ちたような衝撃音も
女のわけの分からない叫び声も。


「誰?叫んでた女は」

『あ、繋がってた。良かった。
聞こえてた?』

「一字一句余すことなくね。
聞かれちゃまずかった?」


誰よ……誰だよ、あの女。


『全然。後ろめたくないから。
あれは同じ営業部の本田未央。
俺らと同期だって。一華覚えてる?』

「知らない。で、癒す約束って何よ」

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