地味に甘い君
第19章 本音のキャッチボール!
「わが社で…働かないかって――――…スカウトじゃん!ヤマト君!いち早く内定ゲット!?」
赤羽は俺の肩をユサユサ揺らしながら喜んでくれている!
でも、その赤羽と正反対に…まだ迷っている自分がいる。
「あっ――――…いや…内定って…悩んでて…」
「は?何で?純弥さんから声がかかるなんて凄いことだよ?」
――――曽根さんも言っていた…“自信を持て”と…
「でも――――…赤羽の“コネ”を使った見たいで2つ返事とはいかなくて…」
俺は赤羽から目をそらすと…うつむいてしまった。
「“コネ”?――――僕は何もしてないよ?」
「いや!赤羽は俺に沢山……くれる…」
「何も…してないよ?」
「してる――――…世話をやいてくれる…俺…もらってばっかりで何も返せていない…それなのに甘えてばかりで…」
赤羽は俺の肩を掴み…目線を自分に向けた。
「僕が勝手にしてたことだよ?ヤマト君が気にやむことは何一つないよ?」
「――――でも…」
「僕ね…誰かに何かをしたいって思ったこと一度もないの…
でもね…ヤマト君にだけに…“したい”って思ったんだ…」
――――それでも…俺はもらいすぎだ。
「甘やかしたい…めちゃくちゃに甘やかしたい。助けたい…僕がヤマト君を助けたい力になりたいって思ったの。
僕が今までされて…“楽だなぁ、助かるなぁ”って事をしたいの…気持ち悪いと思うかも知れないけど…そうしたかったんだ」
「――――俺には…そんな価値…ないぞ?」
赤羽は首をフルと「価値ありまくり」と笑った。
――――俺は赤羽みたいに目立つ訳でもないし…キラキラもしていない…
「メリット…ないだろ?」
「ヤマト君だけだよ――――僕を…特別扱いしなかったの…
僕を――――利用しようとしなかった…
今回だって…僕が“フリーセキュリティ”の親戚って知っても…利用しなかった。
逆に…利用したくないって…悩んでくれた。」