地味に甘い君
第29章 不穏の足音…
何の取り柄もない――――…
地味だもんな…
父さんは…商社に勤めてバリバリ働く目立つタイプだから…案外モテるの知ってた。
付き合ってる人がいるのは知ってたけど…
第一印象悪かったのか…
嫌われたって…なんとなく分かった。
父さんは好きだけど…息子まで好きになるとは限らない……
いいよ――――…俺はこっちで頑張るから…
仕送りも大丈夫――――…バイトして頑張るから。
「そうか!ぁ――――…今年もバイトがあるのか…忙しいみたいだな…頑張れよ」
――――…ハァ、ハァ…
父さん…あからさまに…嬉しそうだ…
帰ってきてもらったら…困るんだもんな…
布団が無い…とか、客間が無いとか…
言ってたもんな…
大丈夫――――…俺は…一人にはなれたよ。
なれたよ…