地味に甘い君
第32章 母に会いに――――…
しかも、新幹線で帰る頭でいたが、赤羽が車を出すと行ってくれ交通費の心配も軽減!
さらに!
“フリーセキュリティ株式会社”が警備依頼されているホテルや旅館ペンションまで、安く泊まれる社割をバイトの俺にも利用できることを知った!
なんて、至れり尽くせりなんだ!
今まで貯めた分と新しいバイト代の額に、俺は人生初めて“余裕”を味わった。
――――金持ちは…いつもこんなに気分なのかな?
なんて、そう思う時点で…
貧乏がにじみ出てしまうんだろうけど…
これで、母に会いに行く準備は出来た――――…
俺はその時…
4年ぶりの帰省に…浮かれていたんだと思う。
その帰省が…
再び俺に孤独を突きつける事とは知らずに…