地味に甘い君
第47章 【番外編・最終回】ダブルタキシード!
小春日の…暖かい日。
俺と尚宏は教会の大きな扉の前で二人並んで立っていた。
「――――緊張する…」
「そう?スッゴク楽しみになんだけど!」
俺の隣でいつもよりキラキラした笑顔を見せる尚宏が…ちょっとばかし恨めしい。
「相変わらずキラキラしてるなあ…」
「そう?ヤマト君だってスッゴクキラキラしてるよ!」
――――嘘つけ…
心の中で悪態をついてみたが…今は緊張でそれどころではない…
「ねぇ――――…僕って…必要なの?」
目の前には…フラワーボーイに選ばれた蕾茅(らいち)君が俺たちを見上げている。
「もちろん!大抜擢なんだよ!お花の道よろしくね!」
今年7才になった蕾茅君は紺色のスーツ姿で花びらの入った籠を握りしめ「は~い」と、前の大きな扉を向いた。