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僕ら× 2nd.

第10章 …---… --Shu,Ar

そんな俺に、ヤツは突っ込む。

「話したら寝るっつったろ?お前はここでおとなしく治療に励んどけ」

言ったけど、そんなこと実際にできるわけねぇだろ?
お前が諦めてねぇのが親父にバレたら、それこそ花野ちゃんが危ねぇんだから。

「添削して、花マルがついたら寝るって意味だ!そんなザル計画聞いて、安眠なんかできるかよ!治療なんて、抗生剤の点滴くれぇだろ?検査なんてしなくったってわかってる。俺は健康、そのものだ!」

再び起きあがった俺は、アルを行かせまいと、両の足を床に降ろした。
いざとなったら点滴なんざ、引き抜いてやる。

「安静が治療なんだよ!足手まといは要らねぇ。もう俺、行くから」

俺の動きを警戒しながらも、スニーカーの紐を結び直した分からず屋は、すくっと背を伸ばす。

「まだ早ぇだろ!待ち合わせは空港じゃなくて学校の駐車場なんだろ?それに、単独で出たら、見張りに捕まるぞ?おい、俺の案に頷け!お前のよりはまだマシだ!今、かかってるのは、花野ちゃんの生死だぞ?お前の万が一の失敗から、花野ちゃんが拷問にかけられてもいいのか?」

ドアから出ていこうとするアルは、そこで歩みを止め、崩れるように座り込んだ。

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