二人のキセキの物語 MN
第62章 背中合わせの二人8 潤
カズが何も言ってくれない移籍の話は
考えない様にしようとしても
事あるごとにひょこっと顔を出して俺を苦しめる
「どうしよう」なんて 俺に相談するのは違うかも知れない
きっとカズは自分自身で決めるだろう
それでも、俺にもひとことぐらい
相談じゃなくてもいい
事後報告でもいいから
カズの口から聞きたいんだけどな
恋愛と仕事は別って事なのかな
所詮カズにとって俺なんてその程度の・・・
そんなぐじぐじした想いを抱えて悩む俺に
午後の稽古開始の声が掛かる
「行かなきゃ」
全てを断ち切るように 俺は立ち上がった