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触って、七瀬。ー青い冬ー

第15章 指先の快楽



「なんで、知って…」

「10年前からずーーーっと馬鹿みたいに探し回ってたんだって?

教会でたった一回会っただけの子の名前とピアノが弾けるってことだけを頼りにして、やっと見つけた!

でも実際会ってみたら女の子じゃなくてがっかりした?

だけど10年の思いは捨てられなくて男でもいいやって思った、
それで僕達は結局こんな関係になった?

それとも、単に僕で遊びたかった?」


「誰がそんなこと言った…」

「佐久間さんだよ、高梨の執事。
ついさっき聞いた」

余計なこと言いやがってあの野郎…

めちゃくちゃ恥ずかしいじゃねぇか


「執事ではないけどな…」

七瀬は自信なさげに言った


「答えてよ、まだ、不安なんだ」

また君は目を隠されてる

俺だけずるいかな、ずるいよな

俺の顔が今、どれだけ赤くても
君には見えない

俺はわがままだから…
欲しいものは欲しいし

嫌がられても押し付けてしまうし
それでも少しは努力してる

本当は四六時中、俺に縛り付けておきたい

でもそんなの嫌だろうから

だから、こうやって夜だけ好き勝手させてもらっている

こうしてベッドにいる君を泣かせていじめているのが本当の俺で
ステージやら学校やら、他の人に見せているのは全部嘘の顔だ


それにも君は気づいてるかな

本当の俺はこんなクソ野郎だけど
気づいてるかな


七瀬の目隠しを、そっと取った


「七瀬」

七瀬は目を開けた

「…見て」

目があった


「高梨、顔真っ赤だね」

「…ああ、お前のせいだよ」

「へぇ、なんかいい気分」

「七瀬、目、絶対逸らすなよ」

「…うん」

高梨は僕の目をじっと見つめた
綺麗な狼の目で


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