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触って、七瀬。ー青い冬ー

第17章 My Man




…嫌いでも好きでもない、


…興味ない


全くの無関心を示した高梨伊織に、
私は思わず顔を上げた。

何だと…?

絶世の美女、木村千佐都を目の前にして
その細くて長い脚や大きな胸にも目もくれず…

いや、少し…かなり、じっくりと…
見つめつつ…

高梨伊織は吐き捨てた。

「体だけは良かった」

それを聞いた木村千佐都は満足げにうなづいた。

「…でしょ?ほら、触ってみる?」

とか言って胸を近づける。
何だこれは、何を見せられているんだ私は!

そして高梨伊織も当たり前のようにその胸を揉み始めた!


「うーん、ちょっと成長した?」

「かもね。どうする?もっとしたい?」

ベッドに腰を下ろした高梨伊織の膝の上に木村千佐都が乗っかる。


「これも脅迫?」

「これはノートラップ」

二人が今にも何かを始めそうだ!

「あ、あの!」

私は思わず声を上げた。


「…ん?」


2人が壁でも見るような目で私を見た。


「あの、私は結局許して頂けるんでしょうか…」

木村千佐都は私をじろりと睨みつけた。

「あんたさぁ、空気ってものが分からないわけ?
私が今せっかくリードしてたのに」


全く、この高校生は一体どんな教育を受けたのかというほど礼儀がなっていない。
それでも許されてきたのはその見た目のせいなのだろう、憎たらしい。


「…まあいいわ。私にもまだ伊織を誘惑することくらいはできるってことが証明されたから。やっぱり男って最後は身体で引き止められるのよ」

「誘惑できたと思ってるならそりゃあおめでたい奴だな」

「は?」

「菅野さんが面白かったからつい一芝居」

高梨伊織は私を見てくく、と笑った。
私は遂に怒りを抑えきれずに再び声を上げた。

「大人をからかうのもいい加減にしなさい!」

木村千佐都は私の声を無視して続けた。

「はーあ、本当にいい性格してるわね」

「お前にだけは言われたかないな」

「もういいわ、こんなくだらないこと続けても時間の無駄みたいだから」


木村千佐都がそう言って離れた。


その時、扉が勢いよく開いた。


「おいお前ら、まだここで話してたのか!」

そこに現れたのはあの男…


「なっ、香田!?」

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